目指すべきもの

何億円にもなる年俸を稼ぎ出し、
富と名声を手にした男達が、
たった高さ数十センチの、
金色のトロフィーに恋焦がれ、
それを掲げるために、
それを掲げるためだけに、
死力を尽くす。
これまで重ね上げた地位も名声も、
すべてを投げ捨てて、
それを欲する。
だからだろう。
それを手に入れたときの表情は、
皆、
唯一人の例外もなく、
少年だった。
ワールドカップとはそういうものだ。
その純粋さに、
涙が零れた。


叶えた時に、
あんな顔で笑える夢が、
今の僕にあるだろうか。


ラストダンスを途中で終えたジズー。
気性が荒いのは昔から言われていることだが、
彼が選んだ最後はあれだった。
もう明日からフットボーラーではない。
ゆっくりと休ませてあげてほしい。