TUI

最近録画して見ている番組がコチラ、NHKの「ITホワイトボックス」。
http://www.nhk.or.jp/itwb/3/index.html
身近なものから先端のものまで、様々な”IT事情”を、初心者向けにザックリと教えてくれます。30分番組なので気軽に見れるところもよく、PSPに番組を入れて持ち出しても通勤の片道で見終われるというお手軽さ。
タイトルは先週放送分、MITメディアラボ石井副所長が研究する次世代インタフェースの名称。
現在コンピュータを操作するために一般的なGUI(グラフィカル・ユーザ・インタフェース)ですが、それをさらに、手に触れることができるようなものにするTUI(タンジブル・ユーザ・インタフェース)と呼ばれるものが登場しつつあります。イメージは、マイノリティリポート。近年のマルチタッチディスプレイをさらにもっと進化させたようなものと捉えてもいいのかなぁ。
TUIの解説はさておいて、番組の中で石井教授が語った言葉に2つ、印象的なものがあったのでご紹介。

  • そこに山はなかった
  • 世界を表現するため

そこに山はなかった

日本の企業で研究者として働いていた教授ですが、研究が評価されてMITからお誘いがきます。その時教授は「これは自分の前に現れた大きな山。これを乗り越えれば自分はもっと成長できる」と思い海を渡ります。しかし実際に行ってみると、「そこに山はなかった」。
どういうことか?
つまり、「自分が登るべき山さえも、自分で作らなければいけなかった。」。
”目の前に山がある”ということは、それが山であると認知させる第3者的な関与があるわけで、研究者という立場から見たときにある意味そこはすでに未開の分野ではなく、誰かが開拓しているところ捉えればよいのだろう。自分で山を作ることができ、それを世界に認知させられてこそ研究者として評価されるということなのでしょう。

世界を表現するため

MITは世界でも最先端の技術を研究しているところと思われているかもしれないが、この表現はある文脈において正しくない。研究者がやっていることは「技術の研究」ではなく、「世界の表現」であるということ。
ライフサイクルを考えたとき、技術は1年で陳腐化する。その上の応用(アプリケーション)はせいぜい10年。しかしさらにその上、ビジョンや理念というものは100年先まで受け継ぐことができる可能性がある。
研究者は、ビジョン・理念=自分の見せたい世界を描き、それを現実世界に表現することを目指している。その”手段”として応用や技術を使うに過ぎない。自分の世界を表現するためには今の技術では不十分なので、それを可能にするための次世代技術を開発するということなのです。

自分が作り出すものは何なのかを意識する必要があることを再認識しました。