一瞬の記憶、その永続化

写真とは記録ではない。
写真とは一瞬の記憶であり、その記憶の断面の永続化に他ならない。

大半の人間は、見たもの、聞いたもの、その匂いや、感情ですらも次第に忘れてしまう。
忘却は、知能とともに感情が発達した人類が生きていくうえで重要な防衛能力の一つであるが故に、どんなに印象的な出来事であっても、鮮明な記憶として残ることは少ない。
全てがキレイさっぱりなくなるわけではなく、次々に運び込まれる情報を整理するため、まさに文字通り、記憶の片隅に追いやられてしまう。

写真は、その瞬間を切り取り、それらを四方の枠に封じ込める。
人間の脳はよくできているもので、視覚情報を索引として、それに紐づく情報を引き出すことができる。
写真には確かに、情報としての音も匂いも感情も含まれていない。
しかし、画という情報に基づいて関連付けられた一つの記憶を呼び覚ますことで、写真を見た瞬間に音も匂いも感情すらも補完し、感じることができるのである。

自分自身の記憶に紐づかない写真であっても、類似の記憶や想像力による補完により、写真に封じ込められた感覚、感情を感じ取ることができる。
屈託のない笑顔を見せる子供、愛嬌をふりまくペット、それを見つめる親や飼い主の顔。
そんな写真を見ると、自然と温かく、愛おしく、慈しみ深い感情が沸き起こるのではないだろうか。

写真とはそんな力を持つ表現方法だ。
できることなら、画からより多くの情報を引き出せるようにしたい。
逆に言えば、その画により多くの記憶を閉じ込めたいと願うだろう。
そうすることで、より感慨深く写真を見ることができるからだ。

だからこそ、写真を撮るための道具であるカメラは、良いものでなければならないのだ。

というわけで、高額買い物をしたことを正当化するための前置きが長くなりましたが、一眼カメラを買ったという話です。

カメラの選択

コンパクトデジカメ、いわゆるコンデジは持っているのですが、やっぱり一眼欲しいよねということで機種選定。
どうせなら本格的なのが欲しいけれど、普通の一眼は大きく持ち運びに難がある。
最近はミラーレス一眼というのがあり、これまでのものよりだいぶん小型化されている。
通常の一眼とミラーレスとの違いは正直分からない。通常の一眼は何と呼ぶのかすら分からない。
そんななので、多分、素人同然の僕にはその出来上がりの違いは分からないだろう。
センサーサイズは大きいほうがよいということもあり、APS-Cサイズのセンサーを搭載したSONYのNEXシリーズにしました。
実は、SONYからはミラーレスのフルサイズセンサーを搭載したモデルが間もなく発売されるのですが、さすがに予算オーバー。
ファインダーと内蔵フラッシュが付き、アプリもインストール可能なNEX6にしました。
7だとちょっとだけ高機能で高価格だし、3だとちょっと機能が足りない感覚、5だとフラッシュが内蔵じゃないので6にしました。
NEX-6 | デジタル一眼カメラα(アルファ) | ソニー

レンズ

「一眼の魅力は、レンズを変えることで様々な写真を撮ることができること」なんて言われますが、正直それがどのくらい良いことなのかが今一つピンとこない。家でじっくり撮るならまだしも、旅行に行くのにそんなレンズを何本も持っていけないし行きたくない。
被写体の大半が人と犬であることを考えると、数は必要ないかなぁと思っていたのですが、動画セミナーを見て、単焦点レンズは購入することにしました。
http://store.sony.jp/Movie/index.html
単焦点だと、一眼の持ち味である、背景をぼかした立体感のある、印象的な写真が撮れるとのことです。
望遠はすぐに必要ないと思っていたけれど、セットで買うのと単品で買うのとでは値段が全然違うので、今後に備えて買っておくことに。

ちなみにこのレンズ、SONYのミラーレスだとEマウントというレンズの種類になります。この○マウントというのが、レンズの種類で、メーカーが違っても○マウントが一緒なら、同じレンズが使えるということのようです。なので、今後カメラの本体を買い換える場合でも、同じマウントのカメラにすればレンズが使いまわしがきくということのようです。
でも、APS-Cサイズのセンサー用に作られたレンズを、35mmフルサイズセンサーを搭載したカメラに付けると、性能をフルに発揮できないそうな。

画質

センサーサイズが大きいほうが画質は上ということのようですが、画質と画素数って違うようです。
デジタルなので1ドットが持つ情報量に差異はなく、画素数が画質を決めると思っていたのですが、そうでもないとのこと。
センサーが大きいほうがより多くの光を受けることができるので、ということだったので、光が少ないと色がはっきり出ず、ぼやっとした色になるからってとこなんだろうかな。
つまり、1ドットの情報に曖昧な情報しか乗らないという。

附属品

店員さんに聞くと、レンズプロテクターや掃除用のハケみたいなのくらいはあったほうがいいということで購入。
カメラ以外に+1万円くらい。
「まけてまけて。予算オーバーなの」と駄々をこねると、まかりはしませんでしたが、バッグなんかを付けていただけました。感謝、感謝。

ちょっとだけ試し撮りしてみましたが、やっぱり単焦点レンズ買って良かった!
また追々公開してまいります。