さようならブルックリン号

10年の付き合いになる愛馬、ブルックリン号(Harley-Davidson XL1200S, 2003)を本日売却致しました。見送ったあと、泣きました。
正直、ここまで感傷的になるとは買った時には思いもよらなかった。
売却を決意した理由はありきたりに言えば「子供が産まれたから」なのだけれど、もう少し色々と考えて結論に至ったわけです。

  • 維持費という面において、駐車場代、保険代、点検(車検or定期点検)代で10万円/年ほどの出費が発生するが、それを上回るほどの活用はなされておらず今後もその可能性は薄いため、所有し続ける合理的な理由がない。
  • リスクという面において、美琴が産まれてから一度乗ったけれど、バイクに乗って初めて「怖さ」を感じた。それまでは圧倒的な「楽しさ」を得るためのものだったのに少し変わった。

売却を検討したのはこの2つが理由です。とは言え、10年持っていると思い出もいっぱいあり愛着の塊と化しているこいつを手放すというのは相当の踏ん切りが必要でした。
就職が決まって初めて組んだローン。好きな色に塗った車体。友達と行った数々の思い出。妻と付き合いだした初めての誕生日、後ろの乗せて2人で色々なところに旅に行けるようにとプレゼントしたヘルメット。結婚してからも2人で出かけました。色々なところに行きました。骨折した大吉のお見舞いにいち早く行けるようにバイクで駆け付けたこともあります。辛い気持ちや悩みも、またがってスロットルを開け、風を受けているうちにスッと消えてなくなりました。たくさんの思い出をくれた愛馬に感謝する一方で、たくさん乗る機会を作ってやれなかったのが申し訳なかったです。血の通わないモノなので当然感情もありませんが、まぎれもなくあれは10年を共に過ごした”僕の”ブルックリン号でした。
しかしながら上記理由でそろそろケジメをつけるべきと判断しました。「ハーレーは10000kmまでが慣らし」と言われるのに結局10年で8000km弱しか走っていないブルックリン号はもっとたくさん走ってくれる新しいオーナーのもとでその性能を発揮すべきです。あの時、辛さや悩みを抱えてまたがっていた僕にも、今はそれを分かち合える家族がいます。美琴という大切な命を授かったからこそ、大切なものを一つ手放す覚悟が必要だとも思いました。そうして売却を決意しました。
ありがとう、ブルックリン号。

番外編:買取交渉

今回、大手バイク買取業者の3社に見積もりを依頼しました。バイクの買取は必ず現物チェックがあります。立て続けに来ていただく予定でしたが、結果2社目が希望価格に近い金額を出してくれたので即決し、3社目はお断りしました。
最初に業者から聞かされた上限価格はおおよそ70万。3社とも似たようなものです。買取の場合、あとは車両の状態を見て、買取業者が基準にするオークションなどの相場表と照らし合わせて減点方式で価格が決定します。で、後で聞いたのですがこの上限と言うのは同年式で「新車同然」くらいのものの価格だそうです。こちらは走行距離まで伝えた後に聞いた価格なのでだいたいそれと近い価格が出るのかと思いますがそうではないようです。年式相応に乗っていれば上限には遠く及ばない価格になりますが、買取業者が参照するテーブルが同じなので、買取価格も大きくは違わないようです。
ちなみに今回の希望価格は70万でした。中古バイクの売値の相場感から、勝手におおよそこのくらいだろうと踏んでのことです。2社終わった段階で提示額はいずれも同じ50万でした。1社目の方に色々と価格の理由を聞いていましたが、2社目も同じ理由でした。なのでやはり相場なのでしょう。大手であればどこも似たようなものになりそうです。
「その値段では決められない」という意思を伝えました場合、彼らが取り得る行動は2つ。「分かりました。ご検討ください。」と引き下がるか、「いくらなら即決してもらえますか?」と聞いてくるか。バイクに限らず何でも同じです。70万の希望価格には届かないと判断しましたが、相場が50万だと65万の要求は厳しいのも現実なので、自分の納得のいく最低ラインである60万を提示したところ、本部確認を経てOKが出ました。本当に「即決」でないといけないかは不明ですが、多分即決しなくても大丈夫だと思います。自分が買う側で、それが本当に欲しいなら1日、2日待ってもその値段は出しますよね?決算の締め直前ならまだしもまだ月初ですから「今日」でないといけない理由はないと思いますので駆け引きだと思います。
そんな交渉を経て売却が決定しまして、原則その場での引取になり、トラックに乗せられて旅立っていきましたとさ。